りっかのブログ

イケ奥の腹黒狸最愛♡な人の雑記。ネタバレ愚痴あり。

はじめにお読みください・・・このブログについて(注意事項など)2017.8.17更新

「本当の気持ちを」

少し前に書いたssですが、嫁が絶賛してくれたので載せてみます…(笑)

CPNのレポ書く余裕が無いから、これで今日は誤魔化そう…

 

割とそれっぽく書いたので、ちょっと恥ずかしい(笑)

 

最初、影ちゃんの性格が派手にキャラ崩壊してて地の文おかしいですが、だんだんイケシリぽくなっていくので!

温かい目で見守ってください(笑)

 

これは私的な萌えポイントを割と詰められた気がする˙˚ʚ( •ω• )ɞ˚˙❤️

あともっと黒ければ良かったんだけど、私の性格的にブラックえこしゃんすごく難しい…

 

良ければお付き合いくださいませ。^^

 

 

 

『本当の気持ちを』

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「おはようございます…良い朝ですね」

 

艶やかな長い睫毛を、ゆっくりと時間をかけて上下させるとーーー

そう言って、目の前の彼は美しく微笑んだ。

 

ーーーーー

 

およそ寝起きというものは夢か現(うつつ)かの区別がつかないものである。

 

理性が停止し、脳がとりとめのない夢を見る。

そんな「眠り」の状態から、まさに目覚めようとする時間に、人は何を考えるのだろう?

 

遠い昔、人間が人間として仕上がってゆく過程の、原始の脳から生命の進化の歴史を追体験するかのように、脳内に様々な事物が浮かんでは消え、支配しては淘汰され、構築されていくのだろうか。

 

そうであれば、

数分、もしくは数秒の「目覚めていく」時間を使って、私はようやく人間になっていく。

 

いや、それだけではない。

「私」が「人間」を経て、「他者に私として識別される私」になってゆかなければ、私は「目覚め」られない。

 

その「私」は、今度は生まれた時から今に至るまでに「私」を形作ってきた模倣、言語、周囲の人間関係、共同体、そういった全ての外的な環境要因を、持って生まれた性情に加え、獲得していく。

 

少なくとも脳にとってはそんな、何とも騒がしい時間なのだ。

寝起き、というものは。

 

本能は欲望に親しい。

欲望は、寝起きのその頭の中にありありと描かれ、まだ弱々しい生まれたての理性の干渉を受けないままに身体を操る。

 

でも、ーーそれこそが私の望む、本当の姿。心からの要求なのだ。

 

その証拠に、一月前までの寝起きの私は、褥の上で幾度も同じことを反芻した。

 

「目が覚めて、今までの夢みたいな事件が全て本当にただの夢だったら…

上様の影武者なんてしていなくて、

こんな緊張に、冷や汗に、後ろめたさに、難しさに、数え切れないくらいの溜息をつくこともなくて、

つつましくも城下で暮らすただの町娘に戻って、

のんびりお茶屋さんでお団子を作る日常がまた過ごせていたら…」

 

でも、その夢はもう見ない。

私はこの江戸城で、大奥総取締役の永光さんと生きていくことを決めたから。

 

そう、私が心から愛し、一生側にいたいと願う人。

そしてきっと、彼も私を同じように大切に想ってくれている。

 

その大奥総取締役その人は、今ーーー

 

「……」

そんな寝起きの私を、愉しそうな笑顔で「ふふ」なんて言いながら、観察するように興味深い眼差しで見つめている。

 

「永光さん……心臓に悪いです」

「何を驚いているのですか?」

永光さんは頭を支えていた腕を崩し、私の髪を一筋取ると、音を立てて小さく口づけた。

「まだ何も悪戯していませんよ?」

「悪戯って…」

まさに『妖艶』という言葉が似合うその流し目に、少なからず心を揺らされた事は秘めて、呆れたように眉を下げる。

 

けれど、思わせぶりに告げられた『悪戯』の意味を考えてしまって、褥の中で近すぎる永光さんの身体を意識してしまった私は、やすやすとその秘め事に失敗した。

 

「貴女を驚かそうと思ったのですが…

あまりに気持ちよさそうに寝ていたので、起きるまで待っていたのですよ」

永光さんは、私の熱くなる頬を確かめるように顔を近づけ、僅かに伏せた目で探るように見つめてくる。

 

「あの、それなら何も褥の中に一緒に入らなくても良かったんじゃ…」

視線に耐えられなくなって目をそらす。

すると今度は抱き寄せるように腰を捉えられ、寝間着の上からゆっくりと撫でられた。

 

「明け方はまだ冷えますから…貴女の温もりを分けていただこうと思ったのですよ」

「んっ…」

わざとらしく耳に唇を触れさせながら囁かれる。

思わず声を漏らしてしまった私に笑みを深めると、永光さんは更に身体を密着させて背中を撫で始めた。

「やはり貴女は温かいですね…」

「っ…」

女性のように美しく長い指先は、裏腹に男性を感じさせる硬さで私に触れる。

薄い寝間着の上から、身体の線を確かめるように指を這わされ、私の息はだんだん上がっていく。

 

「永光さ…」

思わず首に腕を回しかけたところで、私の理性はやっと仕事を始めた。

(そうだった、今日は…!)

「ま、待って下さい…永光さん、きっとそろそろ春日局様が…ー」

「…そのくらいにしていただこうか?お万の君」

私が言い切るより少し早く、静かな怒りをたたえた春日局様が、襖の前で腕組みをしながら怒声をあげた。

 

「ああ…惜しかったですね…。もう少し先まで進んでいれば、声もかけづらくなる所でしたが」

艷やかに微笑むと、永光さんは私の首元に顔を埋め、寝間着の襟を噛む。

 

「な…っ」

春日局様の前なのに…!)

「何をしている」

春日局様が怪訝な声で尋ねる。

(本当に…!)

永光さんの意図が分からず、恥ずかしさで涙目になりながら、こくこくと頷いて春日局様に同意する。

 

「何とは…私のせいで上様の寝間着が乱れてしまったので、直して差し上げているのですよ」

永光さんは振り返って、意味有りげな視線を春日局様に投げかける。

 

(直して…?も、もしかして、口で直すってこと…?)

真っ赤になった私を気にも止めず、永光さんは乱れかけた襟元を春日局様に見えるように示した。

それを見て、春日局様はなぜか一瞬ぴくりと眉を動かす。

 

「…本日の上様の身支度は、私にお任せいただいてもよろしいでしょうか」

恭しく言うものの、永光さんの表情は企みが成功したように嬉しそうに笑っている。

 

「…構わないが…上手く隠すんだな」

驚くほど無表情になった春日局様が、淡々と告げた。

(上手く隠す…?)

 

「それから、本日の上様のお忍びでの視察ですが…春日局様の代わりに、私が」

「何」

春日局様はお忙しいでしょうから、たまにはゆっくりと休んで疲れを癒していただきたいのです。幕府のためにも」

 

(永光さん、今日私に視察の公務があるって知っていたんだ…)

春日局様は案の定というようにひとつ大きなため息をつくと、認めるように頷いた。

 

恋仲になってからというもの、永光さんは自分のいないところで私が他の男性と過ごすのが嫌なのだということを思い知った。

 

(って言っても、ただの公務なのに…)

 

この独占欲の塊のような彼が、仮にも「上様」の私と恋仲で、

更には幕府の命運を左右すると言っても良い、上様のお世継ぎ問題を解決するために作られた美男子の園ーー「大奥」の総取締役なのだから、

「…なんとも幕府の未来は明るいな」

春日局様、心の中まで私と全く同じ感想だったかも…)

それは永光さんの前では絶対に言ってはいけない共鳴だと、自分に強く言い聞かせて、私はごくりと喉を鳴らした。

 

 

ーーーー

 

 

局様が去ってから、永光さんは『ちゃんとした方法で』着替えを手伝ってくれた。

鏡を見ながら自分で出来ます、と言ったけれど、

「貴女のことは全て私がしたいのです」と断られ、

(でも確かに、自分でするより良かったかも…)

 

永光さんに着つけられた着物は、圧迫感を感じない上にとても動きやすく、日が暮れて城へ帰る頃になっても着崩れせず綺麗なままだった。

 

 

 

空が茜色から瑠璃色に変わる頃、ようやく長い公務を終えて私達は帰城した。

 

春日局様への報告を終え、永光さんと二人で葵の間へ戻る。

既に宵は深まり、夜空には月が輝きはじめていた。

 

「今日は、ありがとうございました」

襖を閉めるなりにっこりと微笑んでお辞儀をすると、

「上様がそのように、総取締役に対して礼をしてはなりませんよ」

永光さんは悪戯っぽく微笑むと、嗜めるように頬に触れる。

 

(二人きりになったんだから、もう『上様』として話さなくても良いのに。すぐからかうんだから…)

でもそんな軽口も、二人きりになったことを実感させてくれるようで少し嬉しい。

悪戯心が移って、

「では総取締役も、そのように上様に触れることは叶わぬが良いか」

上様然としてそう答えると、

「それは困ります」

ふふ、とどちらからともなく笑みがこぼれた。

 

(永光さんの笑顔が、「総取締役」の笑顔から「恋人」の笑顔になる…この瞬間が好きだな)

心がほんのりと温まる。

 

視察に同行してもらったとはいえ、他の家臣も引き連れての公務だった。

素の自分たちに戻るこの時間が、つい朝までそうだったのに、不思議と久しぶりの安堵感を覚える。

 

(ずっと周りに気を使っていたからかな…)

丸一日外で「上様」と「大奥総取締役」として過ごした時間の差を埋めるように、私達は抱き締め合った。

 

「ずっと、このように触れたいと思っていましたよ…」

永光さんが少し掠れた声で甘く囁く。

「もう…たった1日ですよ…」

そう言いながら、永光さんの肩口に顔を埋め、

「でも、私もです」

ぎゅ、と身体を抱き締める。

 

「ふふ…貴女がもういらないと言うほど、沢山触れて差し上げましょう」

永光さんの指が帯にかかるや否や、ばさりと帯が解けて床へ落ちる。

(えっ…?)

 

「今朝、帯に少し細工をしました。少しの工夫で脱がせやすくなるものですね?」

「な…っ」

(そんなことまで…)

驚いているうちに、次々と着物や帯紐、帯締めなどが音を立てて落ちてゆく。

 

最後に襦袢一枚となった私は、落ちた色とりどりの布で囲まれていた。

「美しいですね…」

「え…?」

首をかしげると、永光さんは手を伸ばし、そばにあった鏡台をくるりと私の方へ向けた。

「あ…」

 

鏡台に映しだされた姿に胸が高鳴る。

「布が…、花びらのように見えますね」

「ええ、まるで貴女は花の精のようです」

美しいものを眺めるように、鏡の中の永光さんは優しく目を細めた。

 

(あれ…?)

ふと、鏡の中の自分の胸元に目が止まる。

「これって…」

幾つかの赤い模様が、胸元に散らばっている。

(まさか…)

 

「ああ…ばれてしまいましたか。そこにも美しい花びらが散っているようですね。

 まるで朝寝ている間にどなたかにつけられた…ような」

 

ちっとも悪びれない永光さんを見て、朝の春日局様の反応が思い出される。

春日局様は、これを見て「上手く隠すように」って言ったんだ…)

 

恥ずかしさが込み上げてきて、横で微笑む恋人をちらりと睨む。

「まだ悪戯していないだなんて、嘘だったんですね?」

(寝ている間に永光さんに身体を触られて、こんな事までされていたなんて…)

 

「私も寝ぼけていたので、間違うこともあるかもしれませんね」

にっこりと笑う永光さんに、反論する隙も与えられず唇を奪われた。

「んっ…」

 

優しく啄むように口づけられ、朝と同じように背中を撫でられてどきりとする。

ゆっくりとその場に押し倒されると、積み重なった布が柔らかく背中を抱きとめてくれた。

 

(あ…着物が…)

下敷きになった着物を心配して横目に視線を送ると、永光さんがそれを遮るように頬に手を当てる。

「…いけません。今は私のことだけを考えて下さい」

そっと視線を戻され、見つめられる。

「まぁ、すぐに他のことなど一切考えられなくなるようにして差し上げますが」

 

月明かりが永光さんの横顔を、きらきらと美しく輝かせている。

その姿に吸い込まれるように見惚れていると、永光さんからも真っ直ぐに視線が落ちてきた。

 

ふ、と小さな溜息が頬にかかる。

見上げると、長い睫毛越しに永光さんの瞳が僅かに揺れている。

 

「綺麗ですよ…今夜はもう離しませんから、覚悟してくださいね。

貴女が私だけのものだと、感じさせて下さい」

 

慈しむように頬を両手で包まれると、今度は一度だけ、そっと唇を押さえるように口づけられる。

 

(永光さんの気持ちが流れ込んでくるような、温かい口づけ…)

愛しくて、胸が詰まる。

 

ゆっくり時間をかけて唇が離れると、私は目を開けて永光さんを見つめた。

 

「あの、私…もういらない、なんて言いませんから」

真っ直ぐに見上げてそう告げると、永光さんが一瞬はっと目を開いた。

 

ーーーーーーー

 

「貴女がもういらないと言うほど、沢山触れて差し上げましょう」

 

ーーーーーーー

 

(さっきは、帯に驚いて伝えられなかったから…)

 

「永光さんがくれるものは全て、もういらないと思うことなんてありません…全部、嬉しいですから」

 

照れ隠しに困ったように微笑むと、

「全く、貴女という人は……」

紫色の瞳にじわりと熱が灯る。

「無自覚とは言え、こんなに私を虜にして…罪深い人ですね…」

「え?」

小さな呟きが聞こえず、思わず聞き返す。

 

永光さんはそれには答えず、しなやかな指で私の頬を撫でると、くす、と妖しく微笑んだ。

「では、貴女が欲しがるままに私を求めて下さい…何度でも」

煽るようにそう言うと、永光さんは私の顎を捉えて深く口づけた。

 

(永光さんの嘘も、口づけも、悪戯も、本当は反論なんて出来ないくらい、全部大好きです…)

 

もう一つ伝えたかった気持ちは、口づけの嵐に飲み込まれて言葉にならない。

 

止まない口づけの中、

次に起きた時は、恥ずかしさという「理性」が仕事を始める前に、ー

この気持ちを伝えよう。

本能のままに。

私はそう全身に言い聞かせた…ー