りっかのブログ

イケ奥の腹黒狸最愛♡な人の雑記。ネタバレ愚痴あり。

はじめにお読みください・・・このブログについて(注意事項など)2017.8.17更新

「あいじょうひょうげん」

私の大好きな旧奥イベ「幸せの場所」の途中のお話という設定で。

ついのべとか、最近あまりにかけ離れてたので書き方意識しました笑

 

突然ふと思いついて書いたので、ちょっと設定が違うんですが許してください^^;

 

ちなみに途中で出てくる永光さんの台詞は、実際に私がお寺で教えていただいて唱えていたものです。(間違いあるかも)

 

 

2次書いてると毎回「うーんなんか普通だなぁ…」とか思いながら。

 

自分の萌えるものと、自分が生み出せるものはまた少し違うんですよね。。;;

自給自足とは。_(:3」∠)_

 

 

 

 

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「あいじょうひょうげん」

 

 

ーーそれは、大名の息子である「虎吉」という男の子が、私たちに預けられている時のことーー


初夏の風が吹き抜ける、心地良い朝…ー


私は永光さんの部屋へと急いでいた。

(永光さん、虎吉にちゃんと朝餉を食べさせてくれているかな。私が一緒に寝ると言ったのに…)

 

昨晩思いがけず、子供が苦手な永光さんが虎吉と一緒に寝ると言い出した。

(もしかして、喧嘩していたり…しないよね。それに、虎吉の時々悲しそうにする表情もなんだか気になるし…)

 

小さな不安を感じながら、たどり着いた永光さんの部屋の襖を開けようとしたとき、


「ごちそーさま!」
虎吉の威勢の良い声がした。

「まだ、残っていますよ?」
「もういらねーから残す」
「甘えた子供ですね…そこに座りなさい」

永光さんの穏やかな声が、次第に棘を帯びていく。

(いけない、止めないと…)
急いで襖を開けようとすると、ー

永「一粒も天地の恵み…」
永光さんの静かな声にはっとする。

永「一粒も苦労の賜物(たまもの)」
(この声は・・・)
聞いたことの無い声音が気になり、思わず襖の隙間から覗き見る。

永「粗末に扱えば得を失い…」
永光さんが、まるでお坊さんのように両手を合わせて唱えている。
(そういえば、大奥に入る以前、永光さんは出家してお寺にいたんだっけ…)

永「不足に思えばその身を滅ぼす。
 …わかりますか?」

神妙な面持ちになった虎吉が、眉を寄せる。
虎「どういう意味だ?」

それまで優しかった永光さんの顔に、すっと陰りが宿る。
「食べ物を粗末にするものは、地獄に落ちる、ということですよ」

「………」

数秒間、静かな沈黙が流れたかと思うと、また二人分の食事の音が聞こえてきた。

(よかった・・)
ほっと胸をなでおろす。

虎「えーこーは、お坊さんだったのか?」
虎吉の声がする。

永「そうです」


虎「おれは神仏なんて信じてないからな。信じられるのは…自分だけだ」

 

永「それは違いますよ」

 

虎「えーこーに何がわかるんだよ。うえさまをいじめてばっかりのくせに」

 

永「わかっていませんね。あれは愛情表現なのですよ」

(あ、愛情表現って…)
かあっと顔が熱くなる。

虎「いじめてるようにしか見えない…」
不服そうに虎吉が呟く。

永「愛情表現とは時にそういうものです。貴方のお父上が今されているでしょう?」

虎「えっ…?」
虎吉が大きな目をぱちぱちと瞬く。

永「愛する者には、悲しい事や辛いことは見せたく無い、隠したいと思うものです。たとえ、…嘘をついてでも」

虎「うそを…?」

ーーー

「わがままなお前がいたら困る。数日間預かってもらうことにしたから、江戸城で過ごすんだよ」

ーーー

虎「ちちうえは、おれがいい子にしないから困るんじゃないのか。おれをあいしてるから困るのか…?」

驚いたように呟いて、虎吉の目にうっすらと涙がたまる。

永「……」

永光さんは、それを黙って眺めている。

虎「あいじょうひょうげん、って、なんだ…」

ぽつりと呟いた虎吉の頭を、永光さんがくしゃりと撫でた。

永「わかりにくいものですよ。人それぞれですからね」

虎「じゃあ、おれ…ちちうえのことをもっと見る。ちちうえが何を考えてるのかわかるように、もっとよく見ることにする」

永「ええ」

永光さんが一瞬だけ、目を細めるようにして虎吉を見た。

永「生意気な貴方にしては、上出来の答えです」

そして立ち上がると、

永「もう、入ってきても良いですよ」
言うや否や、支えにしていた襖がぱっと開かれ、


「きゃっ」
私は永光さんの胸に倒れこんだ。
「気づいて…っ」

虎吉も目を瞬かせて飛び込んできた私を見ている。

永「ええ。もちろんです」

虎「あ…ごちそうさま!お、おれまだ寝間着だったから着替えてくる…っ」

涙目の顔を見られるのが恥ずかしいのか、虎吉がばたばたと慌てて出て行く。

それを見届けて、永光さんがふぅとため息をつく。

永「まだまだ、子供ですね」

「永光さん、さっきの…」

永「はい?」

(さっきの声…いつもと違う声だった。
 きっとあれは、お坊さんだったときの永光さん…)

「あ、その…」

(でも、その話は永光さんの口からはほとんど聞いたこと無い。永光さんのことを、もっと知りたいと思うけど…)

ーーー

「愛する者には、悲しい事や辛いことは見せたく無い、隠したいと思うものです」

ーーー

(もしかして永光さんは、私のために隠してくれて…)

 

喉の奥に、とっさに言葉を飲み込む。


「その…、私をいじめてるのは「愛情表現」だったんですね?」

戸惑いながら話題を変えたので、つい拗ねたような口調になってしまった。

永「ええ。伝わっていませんでしたか?」

永光さんが、優しげに微笑む。
その笑顔に心がぎゅっと掴まれたような気持ちになる。

「永光さんの愛情表現は、特にわかりにくいですから…」
恥ずかしくて横を向くと、ぐっと抱き寄せられて耳元で囁かれる。

永「でしたら、わかりやすい表現でお伝えしましょうか」
永光さんの指が、優しく頬を滑り首筋へ伝っていく。

「だ、駄目です永光さん…っ。虎吉が帰ってきますから…」
なんとか腕の中から抜け出そうと身を捩ると、永光さんは楽しそうにふふ、と微笑んだ。

永「それでしたら大丈夫です。彼が着替えに現れたら、昼まで遊んでくださいと…稲葉さんにお願いしてありますから。今頃楽しく遊んでいるでしょう」

「そんな…私たちがお世話を頼まれたのに」

永「十分お世話しているでしょう。それに私は、子供よりも貴女と遊びたいのです」

(永光さんって、大人なんだか、子供なんだか…)

企みがうまくいったとばかりに嬉しそうな永光さんを目の前に、私は呆れて言葉が継げなくなる。

永「それにこんな事は、子供とはできませんからね?」

くるりと視界が回って畳の上に組み敷かれ、永光さんの腕の中に捕らえられた。

「永光さんっ」

永「なんです?」

「あ、その、こんなところで…」

真っ赤になりながら告げると、永光さんは眉を顰める。

永「他の男の匂いがする褥で、貴女を抱くことなどできませんよ…」

「他の男って…」

永「小さくとも男は男ですよ?」

(虎吉のこと…?)

にっこり笑って、永光さんは私の頭をあやすように撫でてくれる。

永「心配せずとも、彼は大丈夫ですよ」

(あ…さっきと同じ目…)

虎吉を褒めた時の、永光さんの優しい目。

永「自分で答えを出そうとしていますからね」

(あんな風に言ってたのに、ちゃんと虎吉のことを考えてくれてたんだ…)

胸の中が温かく満たされて、微笑んで永光さんを見上げる。

「…わかりました」

 

さっきの虎吉の表情を思い浮かべると、先に感じていた不安はもうすっかりなくなっていた。

 

「でも、お昼からは3人で遊びましょう。永光さんと遊べたら、きっと虎吉も喜びますから」

一瞬、永光さんが驚いたような表情で私を見つめた。

永「貴女という人は…」

 

心なしか、頬がうっすらと赤い。

「ん…」

柔らかな口付けが落ちてきて、畳の上の私の手に、そっと永光さんの手が重なる。

 

永「私は子供は嫌いですよ。でも、貴女となら…」

 

「え…?」

永「いえ…。ではあの生意気な子供に、「えーこー」ではなく、「えいこう」だと。教えて差し上げるところから始めましょう」

ふふ、と笑む永光さんの目元が柔らかく弧を描いたのを見て、私は頷いて微笑み返した。

 

(大人なようで、子供のような、でもやっぱり大人でずるいこの人が、好き…)

温かい指先を求めて永光さんの手を握ると、それに応えるように力が込められる。

 

色素の薄い柔らかな髪が頬をくすぐり、私の首筋にはいくつもの口づけが落とされていく。

 

そのまま永光さんの艶やかな愛に、私はゆっくりと身を任せた…ー